努力は必ず報われるのか?

「漫画家って、ただ努力するだけではなれませんよね?」

漫画好きのある高校生が、ふとこんなことを言いました。

「芸術系の分野は特に才能が必要そうな気がするからそうかもね。でも、ただ努力するだけで成功できないのはどんな職業でも同じだよ。」

漫画家になるためにどのような努力が必要なのか私にはよくわかりませんが、どの道でも成功しようと思ったら大変なのではないでしょうか。

 

まずは努力の「方向性」が大切です。

例えば、コンビニで一生懸命働いていたらそれだけで小売業で大成功するでしょうか?

レジ打ちの技術を上げる、商品の陳列方法をマスターする、在庫管理の手法を覚える、客のニーズを把握して商品に反映させる・適切な広告を考える、店員の教育方法を考える・・・

私は小売業に詳しいわけではないので細かいことはわかりませんが、恐らく、現場で働くために必要なスキルを身に付けながら、経営について学んでいく必要があるのではないでしょうか。

努力の方向性を考えず、「ただ努力するだけ」では成功できない気がします。

 

また、「適切なフィードバック:やってみる→効果を測る→改善する→やってみる→・・・」も大切ではないでしょうか。

何をするにしても、「これをやったら誰でも成功できる」といった万能の方法などは無いでしょう。

何かをやってみて失敗したら、なぜ失敗したかを考えて次に活かす。

またチャレンジしては問題があったところを修正する。

フィードバックをかけながら徐々に良いものにしていくことが、成功につながるのではないでしょうか。

(あまり成功していない私が言っても説得力がないかもしれませんが・・・)

 

勉強についても同じことが言えるような気がします。

つまりは、やみくもに努力しても身につかない→結果につながる努力が大切!

(ようやくここから本題です^^;)

 

国語の勉強として漢字の書き取りを繰り返す。英語の勉強として英単語の書き取りを繰り返す。数学の勉強として方程式の計算を繰り返す。

こういった勉強が大切であることは基礎の基礎の学力定着として疑う余地がありません。しかし、それだけでは成功できないでしょう。

「方向性」が間違っているからです。

 

ある中学1年生の勉強を見ていた時の話です。

英語の問題集を見開き1ページといたところで、「じゃあ答え合わせしてみて」と私は言い、実際にその中学生が答え合わせをする様子を見ていました。

一通り〇✖をつけたところで手を止めました。

「どこを間違えたかわかる?」

と、私はある問題を指して聞きます。

「Mr が抜けていました。」

「その通り。でも、何かが抜けているよ?」

「あ、Mr って正しくは Mr. のように、小さい点が付くんですね。」(細かい点に気が付けるしっかりした目を持っていることは大きな強みです)

「よく気が付いたね。英語って、こういう細かいところを気にしていかないと必ずミスをして点数が伸びなくなっちゃうんだよ。他にも〇をつけたところで実は間違っているところがあるんだけどわかる?」

・・・

勉強において答え合わせは練習したことに対する「フィードバック」にあたります。

適切なフィードバックが得られてこそ練習は効果的なものになるので、自分自身で答え合わせすること非常に大切です。(指導上、手を抜いているわけではないのです!)

特に中学生については、目の前で答え合わせをさせて、正しくできているかをしっかり見るようにしています。

勉強の質が飛躍的に向上しますからね。

 

以前勤めていた塾では、美術の教員免許を持った英語の先生がいました(イギリスに留学もしてかなりしっかり美術を学んだ方です)。

その先生がある生徒に、今時の漫画やアニメに出てきそうな女の子の絵を書いてあげていました。

アニメ風のイラストは描いたことが無いと言っていたのですが、サラッと描いたその絵は素人目には非常にうまいものに見えました。

基本を学んだ人はやはり強いなあと、ふと思った瞬間でした。

努力の方向性と適切なフィードバック。これを大切に指導し、生徒に基本を身に付けてもらいたいなあと思います。