センター試験にしろ、私大・国公立2次試験にしろ、大学入試では長文の配点が高いので長文の読解演習をしていかなければなりません。
しかし、英語が苦手な生徒の場合、この読解演習を後回しにしている傾向があります。
(文法や単語のほうが勉強しやすいので、こちらを優先してやってしまうせいとが多いです)
後回しにしてしまう理由はいろいろあると思いますが、「長文を読んでも全く意味が取れない」という、苦手意識が大きいんじゃないかなと思っています。
今年度、英語が苦手な高3のUさんの指導では、中学校の教科書の英文を読むところから始めています。
さすがに中学レベルまで戻ると文構造が簡単なので、さらさらと読んでいくことができました。
中学校の教科書といえどいくつかは難しい単語があるのですが、文構造が単純なせいで、単語の意味を類推しながら読んでいくことができます。
入試本番の英文ですべての単語がわかるということはないので、この類推して読んでいく練習というのが大切になります。
Uさんには、中1~中3の教科書を1冊ずつ読んでもらい、中3の教科書だけ出版社を変えて2冊読んでもらいました。
たまにわからない単語が出てきてがっくりしているUさんでしたが、苦手意識を感じることはあまりありませんでした。
ただ、「このペースで勉強していて大丈夫なのかな」という気持ちはあるように感じました。
基本的な文章を読む練習に合わせて、文法のおさらいも行いました。
長文を読んでいく基礎、つまり文構造を理解するためには文法の勉強が欠かせません。
英語表現Ⅰの教科書を2冊使って練習問題を解いてもらい、文法の基礎を身に付けてもらいました。
一通りの文法の知識を身に付けてもらったので、これで長文が読みやすくなると思います。
ここから高1レベルの教科書、コミュニケーション英語Ⅰの読解を行いました。
高校英語の教科書はたくさんあるので、その中から比較的易しいものを選んで読んでもらています。
1冊目はどれだけ内容を理解しているか、私が確認しながら読んでもらっていました。
一人で読み進めていってもらっても大丈夫なことが確認できたので、2冊目は自分のペースでどんどん読んでもらうようにしました。
授業でも読んでもらい、わからない語句や文章について、私が解説を加えていきました。
今は3冊目を読んでもらっています。
3冊目に入るころにはこのレベルの読解にもだいぶ慣れてきていました。
慣れてきたおかげで、「わざわざ授業でやらなくてもいいかな。」という感じに、私もUさんもなってきました。
コミュニケーション英語Ⅰレベルの文章はどんどん自分で読み進めてもらうとして、授業ではもう少しレベルを上げた長文を読むことにしました。
教材は「基礎英語長文問題精講(旺文社)」です。
Uさんにはちょっとまだ難しいかなと思ったのですが、入試用の教材に取り掛かることがモチベーションにつながっていい効果を出すのではないかと思ったのです。
(「今のままで間に合うんだろうか」という不安を感じていたので。)
やってもらうと予想した通りですが、だいぶ苦戦しているようでした。
わからない単語もたくさん出てきます。
読み終えた後、Uさんはちょっとがっくり来ているように見えました。
「今まで結構英語の勉強をやってきてもらったけど、『まだまだ英文が読めない』って、気落ちしていないかなあ。」
まだ慌てなくても、少し難易度を落としたものをじっくり読んで基礎を身に付けてくれれば大丈夫な時期です。
「次の授業どうする?これを続けてもいいし、難易度を落とした文章を読んでもらってもいいんだけど。」
こう声をかけると、
「大丈夫です。これを続けたいと思います。」
Uさんはこう言ってくれました。
やる気は衰えていないようです。
ただ、このレベルの英文を読んでもらっていると、読んでもらう英文量が少なくなってしまいます。
(難しい英文は早く読むことができませんからね。)
家庭学習での長文読解は進めてもらいます。
やや難易度が低めの文章を大量に。
コミュニケーション英語Ⅰレベルの英文であれば、1週間ちょっとで教科書1冊を読めるようになっています。
たくさん読み進めることで文章の中で語彙力も付いてきますから、どんどん長文が読めるようになってきます。
もうしばらく難易度を変えずに読解を進めてもらいますが、慣れてきたら今度はコミュニケーション英語Ⅱレベルの英文を読んでいってもらいたいと思います。
授業ではやや難易度の高い英文をしっかり読む。
家庭学習でやや難易度を下げた問題を大量に読む。
Uさんの考えを尊重しながら、この2つを基本に長文読解を進めています。
苦手意識があると勉強することを避けてしまい、結果としていつまでも改善することなく、苦手が苦手のままであり続けてしまいます。
大学受験に向けて英語を勉強していく場合、英語が苦手な生徒というのは例外なく中学レベルの英語に何か問題があります。
思い切って、そこまで戻って勉強してみることをお勧めします。
やり始めれば思ったより早く終えられるので、「受験に間に合わない」なんてことはありません。
そこから徐々に徐々に、ゆっくり難易度を上げながら長文読解をやっていきましょう。
順を追って勉強していけば、必ずできるようになります。
Uさんの勉強の様子を紹介してみましたが、もしよかったらこのやり方を参考にしてみてください。
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