こざかい学習塾では、「勉強のやり方を教える」「何がわかっていないのかを見つける」「生徒一人一人の質問に答える(質問できない人にはこちらから聞いてあげる)」といったことに力を入れて指導をしています。
指導をしているとこれまでできなかったことが少しずつできるようになっていきますが、習熟のスピードには個人差があります。
「実力の違い」の一つです。
あとはテストの後半にある「応用問題」を解けるかどうか。これも「実力の違い」の一つです。
(応用問題を解くには実力が必要ですから、応用問題を実力問題とも言いますね。)
勉強の効果を高めるためには実力を養わないといけないのですが、厄介なことに、実力は簡単には上げることができません。
そのため、「計算問題はできたけど後半の応用問題ができなかった」「教科書にない英文が出てきて意味が分からなかった」といったことが起こり、これが続きます。
「実力は簡単に上げられないから厄介」と書きましたが、最も厄介なのは「自分は実力がないからどうせ応用問題なんか解けない。」という生徒自身の「諦め」の感情だと思います。
私はこれを何とかしたい。
そこで、「実力」とは何なのか、これを明らかにして、そのうえで具体的な対策をとっていきたいと考えています。
一般に「実力がある人」というのはどういう人でしょうか。
私は、次のように考えています。
1.思考力がある。
2.読解力がある。
3.知識量が豊富。
この3つについて、一つずつ掘り下げて話をしていこうと思います。
1.思考力がある。
「もしかしてこうじゃないかな?」と仮説を立て、「本当にその通りか確かめてみよう」と検証する。
間違っていたらまた仮説を立て、繰り返し検証する。
「考える」ということがどういうことか、説明してみるとこうなるんじゃないでしょうか。
数学の文章題でいえば、
1.図や表を書いて調べてみる
2.何通りか式を立てて正しいか調べてみる
3.具体的なものに置き換えてみる(小学生が「おはじき」を使って調べたりしますね)
4.1からしらみつぶしに数え上げて規則性を探す
こういうことができるかどうかが、考えているかどうかの違いです。
文章題が苦手な人ほど、先ほど挙げた1.~4.のようなことをできない・やらないことが多く、「考える」ということを、「たいした苦労もなく突然ひらめくこと」のように認識しているふしがあるように感じます。
ひらめくということは、泥臭く、いろんな仮説を手を動かして検証し続けた先にあることです。
「おはじき」や「コイン」を使って数を考えてみたり、紙に描いた三角形や四角形を切り取ったり、立体を紙や粘土で作って図形を考えてみる。
こういったこと、中学校よりむしろ小学校の算数で多くやっているのではないでしょうか。
遊びの延長のようなこの作業、これが思考力を養うのに重要な役割を果たしているのだと、私は考えています。
だから、思考力をつけるには、小学校の算数に立ち返って地道な作業を行う必要があるのではないか。
私はそう考えています。
このように考えていくと、「思考力をつけるには時間がかかりそうだな」ということがわかると思います。
テスト前に追い込み勉強で、数学の計算問題くらいであれば何とでもなります。
計算問題であれば練習問題とテスト本番の問題は、数字が違うくらいでやり方はほとんど同じです。
やり方を覚えておけば、そう思考することなく解くことができます。
しかし、文章題となると、もともと思考力のあった人でなければなかなかできるようになりません。
計算問題に比べ文章題は、数字以外に細かいところをいろいろと変えて出題することができるため、少し設定を変えられるだけでどうしても、解くのに思考力が必要となってしまうからです。
思考力は長年の練習によって培われてきたものです。
テスト前にちょっと勉強したくらいで身に付くものではありません。
少しネガティブなことも書きましたが、悲観する必要はありません。
思考力を身に付けるには時間がかかることは確かです。
しかし、思考力は「練習」によって身に付けることができます。
図や表を書いたり、何かに置き換えたり、数え上げる作業を今からでもやればいいのです。
私も具体的に何をやらせたらいいかいろいろ探しているのですが、今のところ、中学入試用の算数教材の中から文章題を抽出してやらせるのが、中学生には一番いいのではないかと考えています。
算数教材であれば、基本的に「たし算、ひき算、かけ算、わり算」だけで解くことができます。
中学で扱う文章題ほど式が複雑にならず、純粋に思考力を鍛える練習に集中することができます。
様々な難易度の問題があるので、生徒のレベルに合わせて教材を選ぶこともできます。
これを、図を描かせながらやらせていくのです。
実は何人かの中学生には、2学期期末テストが終わってから、この取り組みを始めています。
(皆、数学の文章題で苦戦した生徒たちです。)
1回の授業で5分程度、「頭の体操をする」という軽い感じで、「ちょっと簡単かな?」と思うレベルの問題から始め、どんどん進む喜びを感じながら解いてもらっています。
たまに間違えるのですが、そこまで難しい問題ではないため、「こんなのできなくて当然だ」ではなく、「しまった。何で気が付かなかったんだろう。」と反応してくれるのがうれしかったりします。
成果が出るのにはしばらく時間がかかるでしょうが、コツコツとやっていってもらいたいと思っています。
「実力の正体」として、「思考力」のことを書いてきました。
記事が長くなったので、「読解力」と「知識量」のことについては、日を改めて書いてみたいと思います。
少しだけお待ちください。
今回のブログでは中学生を念頭に、「思考力」の話をしましたが、高校生に対して私は、
「『考える』をちょっと難しく言うと『思考する』と言う。そして『思考する』っていうことは、『試行する』ということにとても近い。手を動かしてあれこれ試してみることができなくなっていたら、それはもう考えられなくなっている証拠だから、諦めて解説を読んだ方がいいよ。」
と言っています。中学生と同様、思考力について意識することは高校生にとっても大切です。
これはまた、別の機会に書けたらと思います。
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