物質の成り立ち(1.熱分解②)

教科書:理科の世界2(大日本図書)

単元1 化学変化と原子・分子

1章 物質の成り立ち

1 熱分解(教科書 P.10~16)

 

前回は酸化銀の熱分解について扱いました。

次に、炭酸水素ナトリウムの熱分解について説明します。

炭酸水素ナトリウムっていわれると「何だ?」って思うでしょうが、これ、割と身近にある物質です。

ホットケーキを作るときにつかうベーキングパウダーの主成分が炭酸水素ナトリウムです。

 

ところでホットケーキとパンケーキの違いって何なんでしょうか。

おしゃれなパンケーキのお店とかをTVでやっていたりしますが、いつも疑問に思います。

 

そんなことはさておき、炭酸水素ナトリウムの熱分解について、話を続けます。

実験装置は次のようなものです。

画力については何も言わないでください。

(自分としては結構よく描けていると思っているんですけどね。)

 

炭酸水素ナトリウムを熱すると、気体が発生します。

この気体を水上置換法で試験管に集めます。

一体何が発生したでしょうか?

それを確かめるために、試験管に石灰水を加えて振ってみます。

すると白く濁ります。

これでわかりましたね。

二酸化炭素です。

炭酸水素ナトリウムを熱すると、二酸化炭素が発生します。

 

実験はまだまだです。

加熱した試験管の口元をよく見てみましょう。

何やら液体が生じてします。

ここで使うのが、塩化コバルト紙という試験紙です。

この紙、もともとは青色で、水をつけると赤色に色が変わるという性質をもっています。

発生した液体が、水かどうか調べるための試験紙です。

で、これを試験管の口元の液体につけてみる。

赤色になります。

よって、この液体は水であることがわかります。

炭酸水素ナトリウムを熱すると、二酸化炭素とともに水が発生するんですね。

 

さて、最後です。

加熱後、試験管の中には固体が残ります。

この固体は何でしょうか。

炭酸水素ナトリウムとは別の物質でしょうか。

調べてみましょう。

 

炭酸水素ナトリウムと加熱後の物質(白色)を水に溶かしてみます。

炭酸水素ナトリウムはあまり解けないのに対し、加熱後の物質はよく解けます。

そこへさらに、フェノールフタレイン液を入れてみます。

(フェノールフタレイン液はアルカリ性で赤色に変色する指示薬です。)

すると、加熱後の物質をとかした水は濃い赤色に変色します。

炭酸水素ナトリウムを溶かした水は、うすい赤色に変色します。

まとめると次のような感じ。

以上のことから、加熱後の物質は炭酸水素ナトリウムとは別の物質であることが分かります。

性質が全く違いますからね。

 

加熱後にできた白い固体を炭酸ナトリウムといいます。

 

実験をまとめます。

炭酸水素ナトリウムを熱すると、気体が発生します。

この気体は石灰水を白く濁らせるので二酸化炭素であるとわかります。

加熱した試験管の口元には液体が生じています。

この液体に青色の塩化コバルト紙をつけると赤色になることから、この液体は水であることがわかります。

加熱後に残った白い固体は水によく溶け、フェノールフタレイン液を加えると濃い赤色に変色します。

炭酸水素ナトリウムとは全く異なる物質であることがわかります。

この物質を炭酸ナトリウムといいます。

「炭酸水素ナトリウムを熱分解すると、炭酸ナトリウム、二酸化炭素、水の3つの物質に変化する。」

 

炭酸水素ナトリウム → 炭酸ナトリウム + 二酸化炭素 + 水

 

なんて表せます。

 

ホットケーキが膨らむのは、ベーキングパウダー(炭酸水素ナトリウム)が熱せられたときにガス(二酸化炭素)が発生するからなんですね。

わかってもらえたでしょうか。

めでたしめでたし。

 

とはいきません。

 

実験で大切なことが2つほど抜けています。

テストにもよく出るやつです。

実験装置に戻ってみます。

試験管の口を下向きにしていることにはちゃんとした理由があります。

これ、口が上向きだったらどうなると思います?

口元に生じた液体がガスバーナーで加熱しているところに流れ込んできますよね?

するとこの加熱部分が急激に冷えることになります。

するとどうなるか。

割れます。試験管が。

大変危険です。

 

試験管の口をどうしておかないといけないのか。

そうする理由は何故なのか。

テストでもよく聞かれるので覚えておきましょう。

 

もう一つ。

ガスバーナーの炎を消す前にやらないといけないことがあります。

ガラス管を水槽から出すことです。

出さないとどうなるのか。

こんな感じになります。

水が逆流してくるんですね。

するとさっきまで加熱していたところが急激に冷え、やっぱり試験管が割れる。

危ないです。

絶対にやらないようにしましょう。

これもテストでよく聞かれます。

ガスバーナーの炎を消す前に何をしないといけないか。

そうする理由は何か。

 

さて、最後に問題を出してみましょうか。

問1

炭酸水素ナトリウムをガスバーナーで加熱すると次のようになります。かっこにあてはまる物質名を答えてください(①は固体、②は気体、③は液体)。

炭酸水素ナトリウム → ( ① )+( ② )+( ③ )

問2

②が発生したことを確かめる方法を説明してください。

問3

③が発生したことを確かめるために用いるものは何か答えてください。

問4

①は水に溶けやすいですか、溶けにくいですか。また、フェノールフタレインを加えると何色に変色しますか。

問5

この実験で試験管の口を下げている理由は何か、簡単に説明してください。

問6

ガスバーナーの炎を消す前にやらなければいけないことを答えてください。

 

記事が長くなっちゃいますね。

もう少し短くできるといいんですが・・・

——————————————
こざかい学習塾
〒468ー0051
名古屋市天白区植田3丁目1505
OMレジデンス植田1階
TEL 052-846-3222 FAX 052-846-3233
web https://kozakai-juku.com/