【高校生指導】熱力学の指導:今何が起こっているのかを考えよう。

「先生、この問題がわからないです。」

 

今日、私の手が空いているときに高3のG君が質問に来ました。

物理(熱力学)の質問です。

G君は問題集を開いて私の前に座りました。

私はそれを見せてもらい、G君に尋ねます。

 

「これ、どこまでわかっているの?」

「ここですかね。」

「なるほど。じゃあ、この式が何を言っているのかわかる?」

「ボイル・シャルルの式です。」

「いやいやそういうことじゃない。そのボイル・シャルルの式がどういう現象を表しているかってことを聞いているんだよ。」

(ちなみによく見てみたら、ボイル・シャルルの式ではありませんでした^^;)

 

物理が苦手な人の特徴として、すぐ「公式」がどうだとか、計算式のほうにばかり注目してしまうということがあります。

その前に、何が起きているのかを考えなければなりません。

 

「これ、容器の中に水素を入れて、容器Bのほうだけ過熱しているね。加熱すれば普通、気体は膨張するけど、容器の体積は変わらないからその代わりに圧力が大きくなる。」

「圧力が大きくなると、容器Bにあった水素の一部が容器Aのほうに移動する。すると今度は容器Aの中の水素の量が増えてくるから、こっちがパンパンになってくる。」

「容器Aと容器Bの圧力が等しくなった時点で平衡状態になり、見かけ上、水素の移動がなくなる。」

「こんなことが起きているっていうことを図で整理して、そのうえで式を考えていくんだよ。」

 

と、G君に説明しました。

そしてもう一言。

 

「考えてみたけれどわからないっていうのは仕方がない。でもこれなら、練習さえしていればそのうちできるようになるから大丈夫。」

「問題なのは一切考えないということ。考える練習をしていなければどれだけ問題を解いていてもできるようにはならないよ。」

 

キツい一言ですが、物理ができるようになってほしいので言いました。

 

現象の整理さえできてしまえばあとは簡単です。

この問題では気体の状態方程式をいくつか立て、反応の前後で水素の物質量が変わっていないということから保存則を考えて、あとは計算するだけです。

計算自体はたいして難しくありません。

 

今何が起こっているのかを考える。

物理を勉強するときにはとにかくこれに注意してやってもらいたいと思います。

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