この夏休み、こざかい学習塾の生徒たちは課題テストに向けて一生懸命勉強してくれました。
今日の時点でいくつかテストが返ってきて、結果を聞かせてもらっています。
多くは「点数が上がった」といううれしい知らせなのですが、残念ながら結果を出せなかったという知らせもあります。
テストの結果が悪かったという事実は残念なことです。しかし、その原因を探ることで問題解決の糸口が見えてきます。
そこで今日は、課題テストで結果を出せなかったある生徒(高校生のS君)と一緒にテストの振り返りをしたエピソードを紹介したいと思います。
S君が結果を出せなかったのは数学です。この夏、一生懸命数学に取り組んではくれましたが、その成果を十分に出すことができませんでした。
「最悪です。先生、点数見たらびっくりしますよ。」
S君がテストを見せてくれた時の第一声です。続けてS君は言います。
「大問1だけ配点が高いので、ここができていれば平均点が取れます。僕はできなかったんですけど・・・。」
「数学結構勉強して平均点も取れませんでした。これに比べて化学はたいして勉強していないのに平均点取れたんですよ。何なんですかね・・・」
S君は自嘲気味に言います。
点数を見て落ち込んでしまう気持ちはわかります。しかし、落ち込んでいるだけでは何の解決にもなりません。
私はテストを見せてもらい、S君の結果をどう判断すべきか考えることにしました。
テストを見てみたところ、難易度はかなり高いものでした。S君が苦戦したのも納得です。
ただ、S君の認識が間違っているところもあります。
S君は大問1が簡単で、平均点を取っている人はこの大問1で点数を稼いでいると思っているようでした。
私は、
「大問1の(1)は簡単だけど、(2)と(3)はかなり難しいと思うよ。本当にクラスの他の人はこれを解けていたの?」
と聞きます。するとS君は、
「いや、そこまではわかりません。」
と言います。私は問題の全体を見渡して、
「大問の2、3、4は夏休みの課題にあった問題だと思う。多分、点を取りやすいのはこの3問だと思う。」
とS君に伝えます。さらに、
「これ、平均点は何点くらい?あと、トップの人の点数ってわかる?」
とS君に聞きます。S君は、
「平均点は50点くらいです(200点満点)。学年のトップはわかりませんが、クラスのトップは100点ちょっとみたいです。」
と教えてくれました。そこで私は、自分の考えをS君に伝えます。
「大問が6つあって、夏休みの課題から出た問題が大問1の(1)と大問2,3,4。これだけできれば全体の半分はできているわけだからクラスのトップ層になれるってわけか。」
「大問4の問題、そんなに難しくないよ。(ノートにサッと計算式を書きながら)こうやって解くやつだよ。覚えていない?」
(説明の途中でS君はハッとし、「やりましたね」と言ってくれました。)
「クラスのトップでなく、平均点であれば夏休みの課題から出た問題の中から半分できれば取ることができる。」
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S君のテストを見て分かったことは、以下の通りです。
『テストは全体的に難しいが、そのうち半分は夏休みの課題から出題されており、これさえできればクラスのトップとほぼ同じ点数になる。さらに夏休みの課題から出された問題の半分さえ解ければ平均点に到達する。』
テストの問題は難しかったのですが(夏休みの課題から出されたものも簡単ではありません)、きちんと対策を取ることができれば解けないわけではありません。
ましてや、「数学の才能が無いと解けない問題」などではありません。
私はS君に言います。
「今回夏休みの課題から出された問題、3回くらい繰り返し解く練習をしておけばできたんじゃない?」
(S君は「できたと思います」と答えてくれました。)
「今日、テストを出してくれた時、『自分はいくら勉強しても数学ができない』っていうようなことを言っていたけど、そんなのは単に練習した回数の問題だけであって、決して才能の問題なんかじゃない。それはわかってほしい。」
「つまり、今回の反省すべきことは、『なぜ3回繰り返し解く練習をするだけの時間を確保できなかったのか』というただ一点だから。」
もちろん、「時間の確保」も簡単なことではないでしょう。
この夏、高校生たちを見ていると、体育祭・文化祭の準備、オープンキャンパス、部活動 と、皆忙しそうにしていました。
私が言いたいことはただ一つ。
「安易に『自分には数学の才能がない』と諦めるな。」
ということです。これは数学以外の教科にも言えることです。
授業後、さらにS君とはいろいろと話をしました。
時間の確保について、数学の勉強法について、心の持ちようについて・・・
今日のブログではS君とのエピソードを紹介していますが、こういった悩みは誰にでもあることではないでしょうか。
勉強を続けていくうえでの悩みは人それぞれで、決して尽きないものではありません。
その一つ一つに、親身になって応えていきたいと思います。
そしてS君にはもう一つ。
幸いなことに、今回の課題テストは成績に加味されるものではありません。
今回の失敗を教訓に、次回の定期テストでは良い結果を出してもらいたいと思います。
(そしてS君の指導者として、必ず結果を残せるよう、S君を導かなければと思います。)